最高裁判所第一小法廷 昭和29年(し)32号 決定 1954年7月07日
主文
本件特別抗告を棄却する。
理由
弁護人梅山実明の特別抗告申立理由は、原決定の憲法七六条三項違反をいうけれども、保釈を許す決定に対する抗告事件において、抗告裁判所が、右決定が違法であるかどうかにとどまらず、それが不当であるかどうかをも審査しうるものであることはいうまでもない。従って、その審査の結果、保釈を許す決定が不当であると判断したからといって、ただそれだけの理由でその決定をした裁判所の良心と独立を侵すものであるといえないことは、勿論である。されば、所論違憲論はその前提を欠くものであって、採用できない。
よって刑訴四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎)